初心者はレバレッジはかけてはいけない

【澤円】これからインフレ傾向が続く可能性が高いといわれるなか、投資によって自らの資産価値を守っていく必要があるということはよくわかります。しかし、投資にはリスクもつきものです。投資をするにあたって、初心者がやってはいけないことを教えてください。

【森永康平】レバレッジをかけるという手法です。レバレッジ(Leverage)とは「てこの原理」という意味で、投資の世界では「小さい資金で投資効果を大きく上げる」といった手法を指します。例えば、100万円しか持っていないのに300万円分の投資ができるといった金融商品もあるのです。

この投資がうまくいけば、もちろん効率よく稼げます。投資資金が100万円しかないのに300万円分の投資をするのですから、本来稼げるスピードの3倍早く資産を増やせるわけです。

でも、これは逆もまたしかりです。100万円しか持っていないのに300万円分の投資をするのですから、損をするときも損失が3倍になる。そのため、短期間で資産を失うこともあたりまえのように起こります。とにもかくにも、レバレッジはかけないこと。これだけは、初心者の人に強くお伝えしたいですね。

家計簿アプリで毎月の収支を把握する

【澤円】投資をはじめる前には、投資の考え方や手法を知る、またはマネープランを立てるなど、それなりの準備も大切かと思います。準備段階でやっておいたほうがいいことはありますか?

【森永康平】初心者向けとなると、まずなにより自分のお金の流れを把握することでしょうか。「老後資金が足りるか不安だ」という人はたくさんいますが、実はそういう人のなかにも毎月の収支すら把握していないケースがよくあるのです。それを認識できていなければ、将来必要な資金、その資金をつくるために投資にあてるべき金額といったマネープランも見えてきません。そこで、家計簿アプリの活用をおすすめします。一度クレジットカードや銀行口座などを紐づければ、自動的にデータを収集して勝手にお金の流れを可視化してくれます。

【澤円】これも、時代の流れによる変化ですね。投資をしなければならない時代になったと同時に、テクノロジーの進化によって投資をしやすい時代にもなりました。いま、投資をはじめない手はありませんね。

(構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム) 文=清家茂樹)
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