お役所のようなマネジメント

NPBはJリーグというライバルはあるにしても、日本最大のプロスポーツとしての地位は安泰だ。

野球の競技人口は減少し「野球離れ」に歯止めはかかっていないが、さしあたっての大きな競合はないから、大企業やお役所のようなマネジメントが、いまだにまかり通っているのだ。

しかしながら、大谷翔平の昨今の異次元の活躍によって、MLBへの注目度がNPBを凌駕しつつあることは由々しき事態と言えよう。

今年は春先から、午前中のワイドショーに始まり、昼の情報番組、夜のニュース番組まで、トップで大谷翔平、MLBの話題が大々的に報じられることが多くなった。

政治評論家、弁護士、大学教授、タレント、芸人などがメジャー評論家のように「大谷翔平の打撃」「ドジャースのペナントレース」について縷々述べ合うのは滑稽な感じもしたが、NPBの話題よりも明らかに大谷、MLBの話題が大きかった。

写真=共同通信社
試合後、インタビューに応じるドジャース・大谷=2024年10月14日、ロサンゼルス

野球少年の夢はメジャーリーガーに

元日本テレビアナウンサーの徳光和夫氏はラジオで、「(ニュース番組では)メジャーに10分費やして恐らく日本のクライマックスシリーズは4分ぐらいで終わるんじゃないかと思いますが、これを何とかしてもらいたい」と言った。

長嶋茂雄を慕うあまりに立教大学に入り、読売グループの日本テレビに入った「巨人愛」に燃える徳光氏からすれば昨今の「何でも大谷翔平、とにかくメジャーリーグ」という風潮は嘆かわしく映っているのかもしれない。だが、今の若い世代にとって日本だ、アメリカだというボーダーラインはもはや存在しない。

今や、野球少年たちの夢は「甲子園に出場してプロ野球に入る」ではなく「WBCに出場してメジャーリーグで活躍する」になっているのだ。

NPB、日本プロ野球のお役所仕事的なマネジメントは、とっくに陳腐化している。

MLBへ、世界へと関心が向いているファンの目をこちらに再度向けさせるためにも、もっと魅力的なスケジューリング、マーケティングを考えるべきだろう。

関連記事
「引退選手に配慮して、わざと捕球しない」を美談にしてはいけない…プロ野球の「引退試合」に対する強い違和感
やっぱり真夏に甲子園で野球をやるのは厳しい…「9回制→7回制」の議論よりも高野連が真っ先にやるべきこと
だからいまだに選手に体罰を行う指導者がいる…日本の野球界がアメリカに比べて決定的に欠けていること
それを見た後、私の瞳からは涙が溢れ出た…大谷翔平がWBCの試合前の練習で見せた「伝説の打撃練習」とは
ついに「ディズニー離れ」がはじまった…「アナ雪」の制作陣による創立100周年記念大作が大ゴケした根本原因