試合日程に施された驚くべき配慮
そして10月6日には「地区シリーズ」が始まる。大谷翔平のドジャースはナ・リーグ西地区で優勝したが、レギュラーシーズンは9月29日に終了、それから1週間でポストシーズンである「地区シリーズ」に突入した。菅野の巨人よりも1週間短かった。
ここから「リーグチャンピオン決定シリーズ」へと進み、ア・ナ両リーグの勝者が決定するのが10月22日、2日置いて10月25日から7戦4勝の「ワールドシリーズ」が始まるのだ。
レギュラーシーズンからポストシーズンへ、ファンの熱気を冷めさせることなくさらに盛り上げていこうというMLBのマーケティングが見て取れる。
もう一つ言えば、MLBは各日の試合日程にも実に細かい配慮を行っている。
今季の地区シリーズで言えば、10月10日にア・リーグのガーディアンズ対タイガース、ナ・リーグのヤンキース対ロイヤルズを行うと、翌11日はナ・リーグのパドレス対ドジャースの1試合、12日はタイガース対ガーディアンズ、13日はメッツ対ドジャースという風に、両リーグの試合日程をずらして、毎日、アメリカのどこかで試合があるようにしている。これもファンの関心をつなぎとめるためだ。
また同日に複数の試合があるときは、一方がナイトゲームならもう一方はデーゲームなど、試合開始時間が重ならないようにしている。
他のスポーツに人気を取られたくない
これに対しNPBは、CSファーストステージもファイナルステージも、両リーグで同一の日程で行う。休みも同じだから、ポストシーズンで盛り上がっている中でも「試合がない日」ができてしまう。そして多くの試合は同じ時間に試合開始しているのだ。
レギュラーシーズンでもNPBは「月曜日は定休日」のようになっているが、MLBは試合がない日がないように日程を組んでいる。
ファンを獲得し、社会の注目を集め続ける、という意識において、NPBとMLBでは熱量があまりにも違いすぎるように思う。
NPBは、レギュラーシーズンでの試合日程をもう少し工夫すべきだろう。消化できなかった試合は、移動日を潰してでも早いうちに消化すべきだし、場合によってはダブルヘッダーの復活もあっても良い。野球協約上、ダブルヘッダーをすることは認められているのだから。
MLBは「北米四大スポーツ」といわれるNFL(アメリカンフットボール)、NBA(バスケットボール)、NHL(アイスホッケー)の中では、ファン層が高齢で、若者の人気が今一つだと言われる。劣勢だという意識があるだけに、マーケティングにはどん欲なのだ。