肉より魚が多い「伝統的な日本食」

長寿者の多い京丹後地域の人の食事調査から食物繊維摂取量を推定したところ、緑黄色野菜以外の淡色野菜が多かった。淡色野菜の多くは根菜類に当たる。
出所=『腸内細菌の科学

このことからわかるのは、食物繊維の摂取量が多いこと。特に根菜類から多く食物繊維をとっていることがわかってきました。また、海が近いこともあって、魚をよく食べ、肉を食べる頻度は少ない――。いわゆる伝統的な日本食ですが、実は地中海食との類似点も多いのです。

さらに、京丹後と京都在住者各51人の腸内細菌を比較してみると、京丹後の人の腸には、京都在住の人に比べて酪酸産生菌が多く、寿命短縮の可能性のあるプロテオバクテリア門の菌は少ないことが確認されました。

出所=『腸内細菌の科学

酪酸産生菌といっても、菌種はさまざまです。酪酸産生菌によって腸の中でつくられた酪酸は、過剰な免疫反応を抑える抑制系の免疫細胞(Tレグ細胞)の働きを高めたり、腸の内側に広がる腸管上皮細胞のエネルギーとなって、異物の侵入を防ぐ粘液(ムチン)の分泌や正常な蠕動運動を促したりすることが知られています。

日本人ならではの「長寿食」を研究中…

いま、私たちの研究チームは長寿につながる日本人向けの食事パターンを見つけ出そうと研究しています。先の食事調査からわかってきたように、食物繊維が重要です。

さらに日本人の健康には、ブラウティア・コッコイデスという菌とビフィズス菌が多いことも長寿と関係していると私は考えています。

そして、こうした日本人ならではの有用菌を増やすのに、「麹」がカギを握るのではないでしょうか。