「4億円のムダ」は相手の年収に換算して伝えるといい

東京都のプロジェクションマッピングのケースでは、ムダと言っても理解されないですが、「事業費削減で税金が○○円安くなります!」といった表現なら自分ごととして理解できる人が増えます。これは会社の話題でも同じです。

例えば4億円分のムダな経費を削減させる話があるとして、そのムダを年収400万円の人にわかってもらうなら、「あなたが100年働き続けてようやく稼げる金額です」といったたとえを使ってもいいです。住宅ローンを払っている人なら、「4000万円の戸建てが10軒買える」とか、「1億円の高級マンションが4部屋も買えます」と伝えてもいいと思います。

ただし、「100年働き続ける」とかだと途方もない期間すぎて想像がつかない人もいるので、「大正時代から働き続けてやっと返せる」とか、「部署全体の売り上げが20年間なくなる」みたいな表現にしたほうが理解しやすいかもしれません。ポイントはあくまで、相手の立場になり“肌感覚で理解できる何か”にたとえること。

もちろん、人によって肌感覚は違うので絶対的な正解はないのですが、そこは想像力を働かせてみましょう。

怒っている人にはなにを言っても無駄

【怒っている人をうまくなだめたい】

・ダメな言い方
申し訳ございませんでした!

・うまい言い方
なるほど……。
(少し間をとってから)
さようでございますか

「怒っている人を言葉で落ち着かせることはできない」というのが僕の考えです。怒っている人のなかには、自分が不快な思いを誰かにぶつけたいだけの人もいるからです。

そういう人には何を言ってもムダで、どんなになだめても言葉尻や態度、言い方などに難癖をつけて怒りをぶつけてきます。「時間が解決してくれる」という言葉があるように、怒りを収めるには時間の経過がいちばん。というのも僕の経験上、人間の怒りは短時間しか継続しないからです。

反対に「長時間怒られたことがある」という人は会話を継続しているからです。怒っている人はアラを探して難癖をつけてきたりするので、会話を継続する(=怒りをぶつける相手がいる)と、気持ちのいい状態も継続してヒートアップします。だから、必要なのは冷静になる時間です。つまり、怒っている相手との会話を続けず、時間を稼げばいいのですね。

写真=iStock.com/masamasa3
※写真はイメージです