厳しい自問自答をして、本当の自分の気持ちを見つけてほしい

中山祐次郎『医者の父が息子に綴る 人生の扉をひらく鍵』(あさま社)

だから、本当にやりたいことを、心の底からやるべきだと思うことをやりたい、とその時に思った。Dに恥ずかしくない生き方をしたい。死んだDにもし無念や思い残しがあるのなら、それを晴らすような生き様を見せたい。一度は自分のキャリアと生活を優先したばっかりに被災地に行かなかった自分の卑怯さを、今こそ挽回したい。

人情の溢れる人間でいたい。普段は全然できないけれど、損得勘定をなくして、ただただ悲しむ人の隣に座っていたい。その気持ちで、僕は福島に単身乗り込んだ。

君はどう生きるか。

一度だけの、しかもいつ終わりが来るかわからないこの人生というものを、どう生きるのか。厳しい自問自答をして、本当の自分の気持ちを見つけてほしい。そして、多少の躊躇を振り払い、周囲の反対を押しきって、自分の人生を選び取ってほしいと心から願っている。

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