騒音トラブルがドロ沼、本当に悪いのは誰か

では、もう一つご紹介しましょう。こちらはマンションの住人同士の「騒音」がきっかけとなったトラブルです。

罪名 名誉毀損、暴行
被告人 会社員の男性(49歳)

起訴されたのは2件。一つめは、22年3月17日に被告人が自身の住む東京都内のマンションの掲示板にマツダシンイチ(仮名・39歳)の名誉を毀損する目的で、「マツダシンイチ強姦、暴行、傷害容疑」という文字とマツダさんの顔写真を掲載したチラシ6枚を貼ったというもの。

もう一つは、同じ日の夜に被告人が自分の部屋の前でマツダさんの顔面を拳で数回殴ったというものでした。

検察官の冒頭陳述に移ります。被告人は大学卒業後、会社員として働き、犯行時まで同じ仕事を続けていました。被告人は1999年から犯行現場であるマンションに居住しており、被害男性のマツダさんは20年11月に同じマンションへ引っ越してきました。

被告人は、マツダさんから「部屋の音がうるさい」と度々注意を受けていて、マツダさんのことをよく思ってはいなかったそうです。ただ、うるさいと注意されていたのは被告人だけではありません。ほかの住人も同様に注意を受けていて、それが原因でマンションから出ていく人もいたとのこと。

そんな状況に我慢できなくなった被告人は、マツダさんの顔を盗撮し、その写真に「マツダシンイチ強姦、暴行、傷害容疑」といった文字を入れたチラシを作成します。そして犯行当日、チラシをマンション1階の掲示板やマンションの外の電柱などに貼ったのです。

そしてその日の夜。チラシを見つけたマツダさんが被告人の部屋を訪れて、チラシを作ったのは誰かと問い詰めました。被告人が「自分ではない」とウソをつくと、口論に発展。被告人が玄関ドアを閉めようとしたところ、マツダさんが隙間に足を入れて阻止します。その行動に腹を立てた被告人は、マツダさんの顔を何度か殴り、マツダさんが110番通報をして、被告人が逮捕された、というのが事件の流れです。