罰金10万円に「あの~、罰金が高いんですよ。払えないです」

弁護人「普段からお酒はよく飲むのですか?」
被告人「飲むけど、数年前から増えたかもね」

酒量が増えた理由についての言及はありませんでしたが、妻が亡くなったのが20年なので、独り身になって酒量が増え、着る服も気にしなくなってしまったのかもしれません。

弁護人「今後、このコンビニには行きますか?」
被告人「もう行きませんよ! もうね、店の前を通りたくない、思い出しちゃうから。すぐ近くのスーパーへ行くのも、わざわざ遠回りしてるんだから」

と、事件現場となったコンビニには二度と行かないことを約束して、質問を終えました。続いて、検察官からの質問に移ります。

検察官「さっき防犯カメラ映像を見ましたよね。店員さんの肩に手が当たっていましたね?」
被告人「そうね。あんまり覚えてはいないんだけど」
検察官「今後ですけど店には行かないんですね?」
被告人「行きたくないですよー、そんな言葉遣いもちゃんとできない店員がいる店」
検察官「謝罪文などは書いていませんが、謝るつもりはあるのですか?」
被告人「謝るって言ったって、手紙なんかもらうのもイヤだろうし。店に行ったら何か余計なこと言っちゃうからね。アイツも口悪いから、何か言ってくるでしょうし」

と、男性店員を敵対視したまま質問が終了。最後は裁判官からの質問です。

裁判官「これは、元々は略式起訴の事件でした。書類上で罰金判決を出すことができたんです。それをあなたが正式裁判を請求したわけですが、何か主張したいことがあるのですか?」
被告人「あの~、罰金が高いんですよ。(略式起訴の命令の)10万円なんて、払えないです。だって、見ました? さっきの(防犯カメラ映像の)あれだけで10万円って」
裁判官「罰金額をもっと低くしてほしいと?」
被告人「あれで10万円って……。ホントに言葉遣い悪いんですから」

何か新たな証拠でもあれば、罰金額を低くしようと検討する可能性もあったかもしれませんが、被告人が一方的に男性店員の口が悪いという、漠然とした主張のみ。謝罪も反省の言葉もほぼありません。

この2週間後に判決があり、結果は変わらず罰金10万円でした。略式起訴の決定を断って正式裁判を請求した裁判で、判決が変わったところを個人的には傍聴したことはありませんが、この裁判に関しては判決を見るまでもなく、そのままの判決になるんだろうなぁと思っていました。コンビニを出入り禁止になった人がトラブルを起こした事件の裁判はちょこちょこ傍聴するので、頭を悩ませている店長は少なくないはず。臭いが原因というのはよほどのことと思いますが、私もたとえ近所のコンビニであっても身なりには気を付けなくては、と自戒するのでした。