店員を殴っている様が防犯カメラにくっきり

取り調べに対して、男性店員はこう供述しています。「出禁になっている男が入り口から入ってきて、普段なら店長が止めているが、このときは店長がいなかったので『出禁だから来るな』と言った。それでも店内に入ってきて、ほかのお客さんへの迷惑になると思い、店外に出そうとした。近付くとかなり酒臭かった。そして男が私の体を殴ってきた」

写真=iStock.com/GeorgiaCourt
※写真はイメージです

当日、現場にはいなかった店長も取り調べでこう話しているそうです。「普段から被告人が店に来るときは汚れた服を着ていて、かなり臭いがした。店内で奇声を発することもあり、ほかのお客さんの迷惑になると思って、去年の夏に出入り禁止と本人に伝えた。犯行の4日前にも酔っ払って店に来て、そのときはお腹を蹴られた」

起訴こそされていませんが、被告人は4日前にも同じコンビニでトラブルを起こしていたのです。

そして、法廷では犯行時のコンビニ店内の防犯カメラ映像が流れました。音声はありませんでしたが、Tシャツとズボン姿の被告人がフラフラと千鳥足でコンビニに入ってきて、男性店員に文句を言って暴れる様子が見て取れました。2分ほどの短い映像でしたが、音声がなくても被告人の表情から声の大きさがうかがい知れる内容でした。

そして被告人が男性店員の肩を殴っているのがハッキリ映っており、「当たっていないと思う」という罪状認否を撤回させた弁護人の判断は賢明だったようです。そして、弁護人による被告人質問へ移ります。

弁護人「なぜ、この店を出入り禁止になったのですか?」
被告人「着ていた服が汚かったから。近い店だからパッと行ったんです」
弁護人「それが去年7月のことで、今年1月までに店には行きましたか?」
被告人「パートの女性がいるんですけど、(女性が)入れてくれたんでね」

出禁処分にしたことを知らない女性店員が、被告人を何度か店に入れていたようです。

弁護人「それで出入り禁止ではないと思っていたと?」
被告人「そうね」
弁護人「今回は何のために店へ行ったんですか?」
被告人「数日前に店長を蹴っちゃったから謝ろうと思って。そしたら店長はいなくて、アイツが『おまえは二度と来るな』とか『出てけ』とか、客に対する口の利き方がなってなかったから。50歳にもなって、ホント酷いんだよ」

法廷内で被害者を「アイツ」呼ばわり。男性店員としては、度重なる迷惑を掛けてくる被告人を客だとは思っていなかったのでしょう。

弁護人「殴ったのはなぜですか?」
被告人「先に手を出したのは悪かったけど、ホントに口が悪いんだから」
弁護人「お酒は飲んでいた?」
被告人「飲んでたねぇ」