「反応が分かりやすい=話しやすい」が常識だったが…

これはやりとりをジグソーパズルに置き換えるとわかりやすく、発する言葉のひとつひとつをジグソーパズルのピースとします。話すほうがパラパラとジグソーパズルのピースを出してくる。それに対して、相手が「そうなんだ。そういうことがあったんだ」とか「それはこういうこと?」などと反応することにより、徐々にピースが組み立てられて、絵が見えるようになってきます。

そして、その反応を受けて、次はこのピースを出そうとか、これを出せばもっとわかりやすいかな、などと考えながら、ピースを増やしていきます。そうやってジグソーパズルの絵が広がり全体像が完成していくイメージです。

だから、相手の言葉にうなずいたり、相づちを打ったりするなどで反応することはとても大切です。何の反応もないまま無表情でいられると、ピースはバラバラのまま組み立てられずさらに次のピースが決まらないので、話(絵)が見えず会話がつづかなくなってしまうのです。

よって、今までの概念だと、一番反応がわかりやすく顔の表情もすべて見える対面が話しやすく、次点は声だけで反応する電話でした。

「無反応のほうが話しやすい」と語る若者たち

ところが最近、無反応のほうが話しやすいという人が出てきたのです。

カウンセリングの訓練をする前段階で、「無反応のほうが話しやすい」と言われて、私も絶句してしまいました。相手の反応を気にせず、一方通行で話したほうが、自分のペースが乱されないので、話しやすいそうです。これではコミュニケーションになりません。

でも最近はチャットやメールなど、相手が見えないツールが主体になっていて、むしろ、生身の人間が目の前にいて、何か言ってきたり、ちょっとした目の動きや手の動きで自分のペースが乱されたりしてしまうのがいやだと思う人も増えているのでしょう。

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第1回の記事で紹介したマイナビの調査でもあったように、若い人が友達と連絡しあうツールのほとんどは文字ベースで、実際の相手は目の前にはいません。それに慣れているので、反応がなくても平気になってきているのです。

対面より相手が見えないほうがいい。相手に関する情報は少なければ少ないほうが自分を表現しやすいので、声が伝わる電話より、さらに相手の反応を感じないチャットなど文字ツールのほうが好ましい。新しい傾向を持つ人たちです。