自分に責任を持ち、自分のすべてを受け入れる
女性向け「年齢本」の最終目標は、ここまでの引用にも表われていますが、「幸せ」になることです。そしてその幸せは「心」の問題だとされるとき、必然的に以下のような考え方が後に続くことになります。
「自分の人生ですから、自分で責任をとりましょう。彼のいない人生を選んでいるのも、ダメ男を選んでいるのも、モテるのもモテないのも、すべてはあなたの責任。したがって、自分が望むとおりの愛情と信頼に満たされた恋愛だって、本当は選べるのです」(小倉・神宮寺、22p)
「結局、重要なのは心の問題です。28歳になったからって、誰かがなにかをしてくれるわけではない。自分の“いままで”と“これから”を考えて、なにも本質的には変わらないかもしれないけど、それでもちゃんと自分の居場所を整えて『こうありたい』と思う方向に進んでいる自分を、心の中につくりあげるしかありません」(高梨、162p)
自らの人生は自らが積み重ねてきた選択によってできている、だから幸せは自己責任の問題だ、だから自分自身の「心」と状況を整えよう、というわけです。いま、選択という言葉が出てきましたが、この選択に自信が持てないという場合もあります。「年齢本」ではそのような場合にも、以下のような対応策が示されています。
「自分がいま選択している道が間違っていないのかどうか、確認したい気持ちは誰にでもあると思います。でも、確固たる自信がないから、悩み、不安を覚える……。では、確認するためにどうしたらいいのでしょうか? 実をいうと、そんな方法はないんです。だから、とにかく自分を信じるしかない。いくら不安でも、自分は間違っていないと思うしかない。それで、選択した道を選ぶしかないのです」(高梨、166p)
人生の選択への不安は、自分を信じることで解消される、というわけです。しかし、どうすれば自分を信じることができるのでしょうか。それに対しては以下のように述べられます。
「自分のことは、誰よりも自分自身が認めてあげなければ! もし認められないとしたら、自分を認められる生き方、楽しく笑って暮らせる生き方を選択しませんか? ありのままの自分を受け入れ、好きになることでしか、私たちは幸せになることはできないのです」(小倉・神宮寺、168p)
「いつも周りの顔色を見ながら誰かに支配される生活は、私らしくない。情けないと思う自分でも、そこから始めればいい。ダメな自分も隠さなくていい。弱いなら、弱いまま、自分のよさを生かせばいい。いろんなものを失って初めて素直になれた気がする。『今、ここから。今の自分にできることをやる』 私は決意を忘れないようにしようと、口に出して言ってみた」(青山、33p)
ありのままの自分を認め、受け入れること。弱さや欠点やコンプレックスもすべて、自分自身で受け入れること。それによって自らの人生を、すべて自らが選んできたものだと受け入れることができるようになり、また今後の人生についても自己責任で切り拓いていくものなのだと考えられるようになる。そしてその選択の基準は「自分らしく」あれるかどうか、というところに置く――。
このように、人生におけるすべてのことがらを自分自身の「心」の問題として位置づけることが、女性向け「年齢本」の基本的スタンスだといえます。では、仕事や結婚など、人生における具体的な問題はこのようなスタンスからどのように考えられていくのでしょうか。それが次回のテーマです。