「くっつき防止」には予熱をしっかりすること
くっつきやすさは使い方次第。「鉄に限らず金属のフライパンは、予熱をしっかりしてください。食材とフライパンがくっつくのは、吸着水と呼ばれる水分子が原因です。水分子は空気中に漂っていて、200℃程度にならないと蒸発しません。フライパンを熱すると、吸着水がフワフワと立ち上り始めます。そのときに油を引き、皿全体に広げてから食材を入れると、くっつきにくくなります」(飯田社長)。
鉄製のフライパンは、買ってきた際に下準備が必要だ。まず、中火で十分に熱すると、青黒く変色し酸化被膜を作る。その後、油を入れてくず野菜を炒めると油が馴染みやすくなる。以降は、料理に使える。
ついた汚れを取るのは、亀の子たわしがおすすめ。下準備をした鉄のフライパンは、油でコーティングされるため、落ちにくい汚れは中性洗剤で洗ってもよい。金だわしも使えるが、表面を傷つけやすい。洗ったらコンロで火にかけ、水分を飛ばす必要がある。水分が残っていると錆びるからだ。また、トマトや酢など酸性の食材・調味料に反応し、表面が溶けて白っぽくなるので注意が必要。
高熱で使えるので、水分がしっかり飛んでパリッと仕上がる。余熱で火を通し過ぎないように、完成した料理はすぐに皿へ移そう。
鉄の弱点をカバーする「窒化鉄」のフライパン
最近は、鉄の弱点をカバーする窒化鉄のフライパンもある。フライパンを製造する際は鉄を二酸化炭素と一緒に焼いて成形するが、窒化鉄は窒素を加えて表面にまとわせる。その結果、最初の下準備の手間が省けるので人気が高い。
鋳物フライパンにも窒化鋳物があって人気だ。表面がザラザラするので油なじみが速くくっつきにくくなる。鋳物製は鉄よりさらに蓄熱性が高く、肉を焼くのに向いている。柄の部分まで一体成型されているので、つなぎ目が劣化する心配もない。鉄製はフッ素加工のものより重い傾向があるが、鋳物はさらに重いものもある。
熱が急速に伝わるアルミ製は、加熱すると一気に温度が上がり、火を消すと一気に下がる。フッ素加工フライパンは、中がアルミ製のものが多い。アルミ製のフライパンは、中まで火が通らず生焼けになる可能性があるので、鶏肉などはじっくり焼こう。コーティングがないアルミフライパンは、プロの料理人が好む。パスタを作る際に軽くて揺すりやすく、ソースと絡めやすいので便利だからだが、一般の人もパスタ用に買うことがあるそうだ。底が白っぽいのでソースの色がわかりやすい点も、プロに好評である。