グローバル化で格差拡大が進展
エリア別の大学勢力図にも変化が表れている。これまでは首都圏の大学に人気が集まっていたが、首都圏以外の有力校の人気が回復してきている。不況で仕送りが難しくなり、受験生の地元志向が強まっているためだ。
「旧帝大で将来が楽しみなのは東北大と九州大。東北大は大震災をきっかけに防災技術の研究に注力しており、その分野のメッカになる可能性もある。九州大は地の利を生かして東アジアの国際研究、人材交流の拠点になりうる」(オバタ氏)。「中京圏では南山大の人気が上がりそう。司法試験や語学に強く、ミッション系なので女子の人気も高い」(島野氏)。ところで、グローバル化が進むなか、日本の大学の将来性はどうなのか?
東大が秋季入学移行を打ち出し、他の旧帝大、早慶などが追随する動きを見せている。しかし、そうした国際標準対応ができるのは、余裕のある一流大学、有名大学に限られるというのが識者の共通した見方だ。
「有名大学とそれ以外、もっと言えば、東大とそれ以外といった具合に、大学間の格差は今後も開いていく。全体としては私学も凋落するだろう。国立大学と違って、私立大学は経営のために学生数を絞りにくい。少子化のなかで、レベルダウンは避けられない」(オバタ氏)
大学の新設は難しくなっていくが、調理師や美容師などの有力専門学校が、技術の高度化に対応するために大学を開学すれば、人気が出るかもしれない。その一方で、生き残りをかけ、大学間の経営統合が進むものと予想される。すでに、大阪大と大阪外大、慶應と共立薬科大、上智大と聖母大(看護学部)といった合併劇が増えているのが現状だ。ただし、統合のメリットがなければ、苦境に陥った大学に救済の手を差し伸べるところは少ない。下位校の淘汰が、ますます加速するのは確実だ。大学選びのさいには、そうしたリスクも考慮したほうがいいだろう。