かつて留学していた英国のケンブリッジ大学を訪問している。英国での私の指導者であったホラス・バーロー教授に会うのが主な目的。以下、親しみを込めてホラスと書かせていただく。ホラスは、まだまだ元気で、脳のことや、意識のこと、さらには最近の英国の事情まで、さまざまなテーマについて有益な議論を交わすことができた。ホラスは、脳科学の権威で、「進化論」を唱えたかのチャールズ・ダーウィンのひ孫でもある。ホラスがフェローを務めるトリニティ・カレッジは、万有引力を発見したアイザック・ニュートンも在籍した、名門中の名門。30名以上のノーベル賞受賞者を輩出してきた。
800年以上の伝統を誇るケンブリッジ大学と、明治維新以降にシステムが整った日本の「大学」を比較するのは酷かもしれない。しかし、あらゆる意味において、日本の大学に勝ち目はないと、改めて感じざるをえなかった。問題は、伝統の差だけではなく、日本が陥ってしまっている「文化の罠」そのものの中にある。
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