30代をどう過ごすかでキャリアに差がつく

30代は20代より経験を積んでいるとはいえ、ベテラン社員に比べれば、まだ経験が浅いのは事実です。

ですから、本当に有効な策をあなた一人で考案できるとは限りません。上司も、そのまま採用できる提案は必ずしも要求していないはずです。要するに、これも仕事に対する姿勢を見せる機会であり、また、実務能力を上げるための訓練の一環なのです。

もちろん本当に有効な策を提案できれば上出来ですが、あなたが考えた結果だけが重要なのではなく、あなたなりに考えてからホウ・レン・ソウするというプロセス自体にも意味があります。

誰もが最初は新人です。30代でいよいよ一人前に成長していくとはいえ、序盤では、まだ経験が十分でない若手社員です。

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本書でお話ししていることすべてに通じることですが、私は、長年の社会人経験を振り返ってみて、今、言えることをお伝えしているだけであって、はじめからすべてできなくてはいけないわけではありません。

いくら「このようにしよう」と心がけていても、しくじることはあって当然です。そうやってしくじりながらも、大事なことを意識しながら仕事の実地経験を重ねるうちに、1つずつ、少しずつ体得していけばいいのです。

30代はますます仕事の経験を積みながら、ホウ・レン・ソウを含め、自分の頭で考えて物事を解決する訓練をする時期といっていいでしょう。この時期をどう過ごすかによっても、その後のキャリアに大きな差がつくことは間違いありません。

私は“失敗から学ぶ”タイプだった

充実したキャリアを送るためには、仕事の中で学んで成長していくことが大事。この点について異論のある人はいないでしょう。

問題は、いかに学ぶか。世の中には「失敗から学ぶべし」「成功から学ぶべし」両方の議論があります。「得意」と「苦手」に関しても、「得意なことを伸ばせ」「苦手なことを克服せよ」両方の議論があります。

結局、どちらが正しいのか。両方とも理にかなった考え方なので、結局のところ「人による」ということなのではないでしょうか。

したがって、考えるべきなのは「失敗と成功の、どちらから学ぶのが正しいのか」「苦手を克服するのが正しいのか、得意を伸ばすのが正しいのか」ではなく、「自分はどちらのほうが成長できるタイプなのか」。

つまり自分をよく知ることを出発点としたほうが、よほど建設的ではないかと思います。私自身は「失敗から学び、苦手を克服するほうが向いているタイプ」です。

「ここはうまくいかなかった。なんでだろう?」と検証し、修正する。「自分には何が足りないのか」を考え、その部分を自分で納得できる最低ラインにまで引き上げる努力をする。そうすることで成長してきたという自覚があります。

なぜそうなったのかというと、どうも幼少期からの持ち前の性格に理由がありそうです。