セオリー通りにすることが失敗を避ける唯一の方法

では、株式投資で失敗がなかったかというと、そうではなく、失敗の連続でした。直近での失敗は、投資している銘柄を9つまで減らしてしまったことです。資産規模が大きくなるにつれて、なかには1億円以上も投資している銘柄もありました。そうすると、相場が下がってより割安な銘柄が新たに見つかって入れ替えようとしても、流動性がネックで売れなかったのです。

その結果、今回の下落ではトータルで1億円ほどのドローダウンとなりましたが、市場に割安株が増えたと考えると、逆にチャンスが来たとも言えます。今では15銘柄まで分散し、さらに20銘柄程度まで増やしていく方針です。

日中、私が何に時間を費やしているかというと、より割安な銘柄を探すことです。具体的には、目を付けた個別銘柄の有価証券報告書や決算短信を、直近だけでなく過去の分までネットで検索。また、そこに掲載されている保有不動産で気になるものがあれば、周囲の状況を含めて現地に赴いて自分の目で確認、時価評価へ反映させます。

そして、個別銘柄の情報収集のとば口として活用し続けてきたのが『会社四季報』です。バリュー投資では、他の投資家に注目されていない地味な銘柄に投資することがあります。そうした銘柄の基本情報を得るのには、上場している全銘柄を1冊の本としてまとめた四季報を、辞書的に活用するのが最も効率がいいからなのです。

自宅には、自分でお金を出して買い始めた1992年の新春版の四季報から最新版までが揃っています。1冊1冊通読するなかで、そのときに気になった銘柄や実際に投資した銘柄に付箋を貼ってきました。10年前、20年前の四季報を開くことで、そのときの判断が正しかったのかどうか検証でき、そこから再現性のある学びを得られます。

私の投資に対する考え方や手法は確かに地味ですが、それを貫き通すことで、相場がいいときも悪いときも、冷静に相場と向き合い続けられます。

※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年9月13日号)の一部を再編集したものです。

関連記事
この銘柄なら株価市場の乱高下にも動じない…毎月不労所得を生み出す「連続増配株」の全一覧
グーグル、アップル、ヤマト…京大名誉教授が株価が伸びる前に「伸びる企業」を判断した基準はこれ
「日本株のパニック売り」は今後も起きる…公認会計士が教える「初心者でも見極められる暴落の予兆」とは
車2、3台分の資産が吹き飛んだ…株価暴落で痛手を負ったFPが「まさかの安値」を狙って準備していること
毎月2万円以下なら「オルカン」と「S&P500」はお勧めしない…新NISAで「素人が本当に買うべき金融商品」とは