「服がダサい」「食べ方が汚い」批判ばかりしていた「モンスター妻」

「モンスター妻」からの精神的な苦痛に耐えきれなくなり、夫のほうから離婚を切り出すケースは、コロナ禍以降、かなり増えている印象です。

一例を挙げます。

夫は60代で企業の重役、妻は50代で専業主婦という夫婦のケースです。ある日夫が突然、理由も言わず「離婚したい」と言いだしました。

妻のほうには思い当たるフシがありません。最初は夫の浮気を疑い、探偵を雇って調べさせましたが、証拠は見つかりません。

後で分かりましたが、浮気どころか、夜の街で飲み歩くこともない真面目な夫で、子育てにも積極的に関わっていました。

いろいろ話を聞いているうちに、原因は妻のほうにあるのでは」と思うようになりました。

妻は夫に「服がダサい」「食べ方が汚い」などと、夫のクセやセンスを批判することが多かったようです。妻の友人や家族の前で夫のことを「ダメ亭主」と呼んだり、尊厳を傷つけるような対応も日常茶飯事でした。

写真=iStock.com/Wavebreakmedia
批判ばかりしていた「モンスター妻」(※写真はイメージです)

夫が会社で苦しんでいることも知らなかった

客観的に見て、夫はそんなにダメな人ではありませんでした。

国立の優秀な大学を卒業し、誰もが知る大企業に就職。一時は本社の社長候補にも挙がっていたと言います。

ただ社内の権力闘争は苦手だったのか、社長レースに破れ、関連会社の役員を務めることになったそうです。

その過程では相当嫌な目にも遭ったようですが、妻には相談できず、すべて一人で抱え込んでいたのです。妻は夫が半沢直樹さながらの権力闘争に巻き込まれていたことさえ知りませんでした。

夫はどちらかというと口下手で生真面目、妻の言動が不快でも言い返せない性格でした。

その分、妻から言われ放題になってしまい、怒りで寝付けなくなったり、家庭が重荷に感じてうつ状態になったりと、心身に不調を感じるまでになっていたのです。