熟年離婚する夫婦にはどのような特徴があるのか。老年医学の専門家である和田秀樹さんは「一緒に過ごす時間が長い夫婦ほど熟年離婚しやすい。かつて『亭主、元気で留守がいい』というテレビCMが流行したが、これは真理をついている」という――。(第3回)

※本稿は、和田秀樹『70歳の正解』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

背を向け合う男女
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「顔を合わせる時間を減らすこと」が夫婦生活の秘訣

高齢になって、仕事を辞めたり減らしたりすると、否応なく、家族と顔を合わせる時間が長くなります。そのため、老後心安らかに暮らすには、現役時代以上に、家族との付き合い方が重要になってきます。『家族という病』という下重暁子さん著のベストセラーもありますが、家族は喜びや幸いにもなれば、病やわざわいになることもある存在なのです。

うまく付き合えば、「80歳の壁」を乗り越える最良の共同作業者になり、付き合い方に失敗すれば、「80歳の壁」をいよいよ高いものにする原因にもなります。本稿では、高齢者が家族とどう向き合えばいいのか、その心構えと方法について、お話ししましょう。まずは、「妻」あるいは「夫」、配偶者との付き合い方です。

かつて、「再雇用制度」の導入を政府が発表したとき、私は「これで、老後の“収入”が安定する」とは思いませんでした。むしろ、私は「老後の“夫婦生活”が安定する」と思ったのです。夫があと数年間、働くことになれば、その分、老後、夫婦が顔を突き合わせる時間が短くなるからです。というくらい、いわゆる「夫源病ふげんびょう」はポピュラーな病気です。

私を含め、多くの老年精神科医は、抑うつ傾向の初老の女性を問診するときは、まずそのことを頭に置いているくらいです。そういわれても、老後の夫婦関係の“難しさ”がピンと来ないのは、幸せな方でしょう。

「春の桜に秋の月、夫婦仲よく三度食う飯」という、世の幸せをうたった俗謡がありますが、それは白い飯も満足に食べられなかった時代の話です。今、夫婦で三度飯を食って、それがストレスでないという夫婦、少なくともストレスに感じないという「妻」は、ごく少数でしょう。