女性の社会進出が進んでいる

もう一つ、さまざまな面で女性の社会進出が進んだことも、「熟年離婚」増加の一因と見ていいでしょう。

1985年に男女雇用機会均等法が成立して以降、女性が大企業総合職として働くのは当たり前になりました。

厚生労働省の「男女共同参画白書(令和6年版)」によると、女性(15~64歳)の就業率は2005年には58.1%でしたが、2023年には73.3%まで増加しています。

特に25~44歳の女性に限ると、80.8%と、男性(15~64歳)の84.3%にほぼ並んでいます。

出典=厚生労働省「男女共同参画白書(令和6年版)

「経済的に自立した女性」が増えた

また、厚生労働省の「厚生労働白書(令和5年版)」によると、2022年の共働き世帯の数は1262万世帯と、「男性雇用者と無業の妻からなる世帯」の539万世帯のおよそ倍以上となっています。

もはや「夫と専業主婦」という家庭は少数派なのです。

出典=厚生労働白書「つながり・支え合いのある地域共生社会」(令和5年版)

女性の就業率が向上したことで、経済的に自立した女性が増えています。その結果、経済的な理由で離婚を思いとどまる必要がなくなったことが、全体の離婚件数を押し上げていると考えられます。

また、人権意識の向上で男女平等意識が普及し、自分の意志をはっきり主張する女性が増えたことも、熟年離婚増加の一因でしょう。

実際、私の離婚相談所でも、女性からの相談が増えています。特に熟年世代の相談者のうち7~8割は女性です。

これまで離婚相談といえば、男性の浮気や金銭問題などが原因と思われがちでしたが、今や女性のほうが離婚に積極的になっていると感じます。