どんな話でも「とりあえず笑う」はバカにならない

自分の意見を述べるのは、なかなか勇気がいることです。

たとえば、会議において、「お前は、今度の計画について、どう思う?」と社長から尋ねられたとき、賛成したほうがいいのか、反対したほうがいいのか、迷うこともあるはずです。自分の素直な意見や感想を述べるのが、困難だと感じている人のために、ものすごくためになるアドバイスをしましょう。それは、とにかくどんな意見を言ってもいいので、「とりあえず笑っておけ」というアドバイスです(笑)。

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なんだかいいかげんなアドバイスに聞こえるかもしれませんが、とんでもない。このアドバイスは、きちんと科学的な研究の裏づけがあるものなのです。

米国パデュー大学のヴィクター・オッタティは、ある男性議員が、女性レポーターの取材を受けているビデオを作成しました。議員もレポーターも、どちらも俳優が演じました。

男性議員は、デイケア、ホームレス問題、銃規制、麻薬などについて自分の意見を述べるのですが、このとき、無表情で語るバージョンと、笑顔で語るバージョンの2通りのビデオを作成しておきました。このビデオを238名の大学生に見せて評価してもらったところ、男性議員が無表情でしゃべっているときには、大学生たちは、話の内容をしっかりと吟味してから印象を決めようとしました。ところが、同じ男性議員が笑いながらしゃべっているときには、参加者は、話の内容などよく聞きませんでした。とにかくにこやかにしゃべっている、というだけで男性議員によい印象を抱いたのです。

結局のところ、ニコニコしながらしゃべれば、それが賛成であろうが、反対であろうが、保守的な意見であろうが、革新的な意見であろうが、あまり内容は関係ないのです。ただ笑っているだけで、好印象を与えるのです。

返答に困るような質問を受けたときには、とにかく笑って答えましょう。そうすれば、うまくその場を切り抜けることができます。私は、いろいろな人から相談を受けますが、正直なところ、まったく判断できない質問もよく受けます。「内藤先生、うちの商品AとBではどちらのほうが売れる可能性が高いと思いますか」といった質問です。

こういうときにこそ、笑って答えるのです。「いやあ、さっぱりわかりません。私はAだと思います。根拠はありませんが、私ならBは買わないと思います、アハハ」などと答えておくと、それが相手に気に入ってもらえる返答なのかどうかはわかりませんが、そんなに悪い印象は与えないものです。

そういえばテレビのトーク番組においても、司会者から何を聞かれても、とりあえず笑って答えておけばOKという話を、有名人の誰かが言っていたように思います。