自分も相手も60%で十分と考える

人づき合いでは、相手に対してイライラしたり、ムッとしたりすることも、多々あります。

たとえば、時間にキッチリしている人は、いつも待ち合わせの時間に平気で遅れて来る人にイラッとするでしょう。会話の中で、相手のなにげない言葉に、思わずムッとしたりすることもあると思います。

そういうときは、心の中で「まっ、いっか」とつぶやいてみてください。この「まっ、いっか」で、人との関係はずっとラクなものになります。妻が夫に対して、「しょうがない人ね。でも、まっ、いっか」と妥協している夫婦は、たいていうまくいっています。

何でもきちんとやろうとして、実際きちんとやっている人は、他人に対しても厳しくなりがちです。きちんとしてない人のことを実際に責めることはしなくても、まわりの人は、きちんとしている人がそばにいるだけで、なんだか責められているような気分になるものです。

和田秀樹『65歳からのひとりを楽しむ「いい加減」おつき合い』(PHP研究所)

そういう完璧主義の人は、何かひとつでもうまくできないと、「なんてダメな人間なんだ」と、自分を責めます。しかし、できない自分を責めるのは、「自分は何もかもできる」という傲慢ごうまんさの裏返しとも言えます。

自分にも他人にも、100%の完璧を求めていたら、人生はとてつもなく窮屈きゅうくつなものになります。60%くらいできれば「まっ、いっか」。相手に完璧を求めないと同時に、自分に対しても甘くなってほしいと思います。

そもそも、歳をとればとるほど、心身の衰えにともなって、「何もかもきちんとする」ことなど不可能になっていきます。70代ともなれば、もはや雑にならないとやっていけません。

「いままでできていたことは、これからもできる」と思うのは危険です。いままで全力でやってできていたことを、これからも全力でやったとしても、その「全力」のレベル自体が日々、落ちていくのですから、できなくなって当然です。「やればできる」という思い込みは、もう捨てなければなりません。

60%で十分。何に対してもそう思うことが、これからの人生を生きやすくしてくれます。

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