未婚男性では、お金や仕事が幸福度に与える影響が比較的大きい

表には、全体、未婚男性、未婚女性、既婚男性、既婚女性の5つの属性についての数値を記載しているが、以下のように属性によって数値が異なるものがある。

・50歳代であることのマイナス影響は、未婚女性で比較的小さい。

・年収が1200万円以上1500万未満であることのプラス影響は、未婚男性で比較的大きい。

・年収が1500万円以上あることのプラス影響は、未婚男性、未婚女性で比較的大きい。

・金融資産が1000万円以上あることのプラス影響は、未婚男性で比較的大きい。

・通勤時間が90分以上であることのマイナス影響は、既婚女性で比較的大きい。

・家族関係に大変満足していることのプラス影響は、既婚女性で比較的大きく、未婚男性、未婚女性で相対的に小さい。

・仕事には大変満足していることのプラス影響は、未婚男性、未婚女性で比較的大きい。

・社会的地位に大変満足していることのプラス影響は、未婚男性で比較的大きい。

こうしてみると、未婚男性では、収入や資産、仕事や社会的地位が幸福度に与える影響が比較的大きいという傾向があることがわかる。

また、同時に性別や結婚しているかどうかで、各項目の影響がかなり違うことは、世の中の全員に対して、こうすれば幸せになれる、といった単純化が難しいことを示している。

幸せの方程式は意外と昭和から変わっていない

ここまでの結果を見ると、結婚しなくても、十分な収入や資産を確保し、仕事にいそしみ社会的地位を高め、親や兄弟との関係を保ち、未来を明るいと思い、ストレスをためずに生活すれば幸福度を高めることができるように見える。

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また、十分な収入と資産を持ちタワーマンションに住んでいるような社会的地位のある人が、「結婚する必要はない」と主張していたりすることもあるようだ。

確かにそれは、間違いとは言えないし、実際、その人にとってはその通りなのかもしれないが、社会的地位があり、十分な収入と資産を持っている人も、結婚すれば、子どもがいれば、さらに幸福度が高まる可能性が高いことを統計分析の結果は示している。

ただし、平均でみれば、結婚して、子どもがいて、家族仲良く、住んでいる地域や建物に満足して、未来を明るいと思い、ストレスをためずに生活することが幸福度を高めることが示されている。

さらに、所得水準が(同時に正規雇用であることが)婚姻率に大きく影響していることを考えれば、勉強して良い学校を出て、きちんとした仕事に就くことがその前提にあることは明らかだ。

もちろん、これは全体の平均の話であり、個別にみればいろんな幸せがあることは確かだが、幸せの方程式は、意外と昭和から変わっていない、ということなのだ。

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