「ながら運転」による重大事故は過去最多

警察庁によると、スマホなどを見ながら自転車に乗る、いわゆる「ながら運転」が原因となった人身事故は、年々増加している。

2021年には93件、2022年には110件、2023年が139件……。文字通り右肩上がりなんだが、こんな右肩上がりはちっとも嬉しくない。

死亡・重傷事故に限定すると、2024年上半期は18件と過去最多だ。

だからこそ、スマホ見ながら運転には、例の「青切符!」が科せられることになったんだが、どうだろう、収まるだろうか。私が思うに、ここには2つの要因があって、解決はなかなかむずかしいと思う。

「自転車は歩行者の仲間」という大誤解

1つめは「スマホ脳」の依存症患者が蔓延していることだ。スマホで脳を刺激してないと、アタマがヒマ。ヒマだからスマホを見る。歩きながらも当然そうで、自転車に乗っても当然そう。ついついスマホを見てしまう。最初はチラチラ、だんだん大っぴらに。

「依存症」は大げさだって? いいや、たとえば雑誌を読みながら自転車運転するヤツがいるか? 新聞は? いるわけがない。ところが、スマホはいるのだ。しかも多数。このことをもっと真摯に考えたほうがいい。

筆者提供
自転車走行中も信号待ちもスマホが気になってしょうがない

2つめが「歩行者と自転車の間」が完全に溶けていることだ。本来、自転車は車両であり「基本は車道、歩道は例外」のはずである。ところが、日本ではその垣根が曖昧で、自転車は歩道、なぜなら歩行者の仲間だからな、と思っている人が多すぎる。だから多くの外国人は日本人の「スマホながら自転車」を見て驚く。「カミカゼだ」という。

こうした両方向からの誤った歩みよりがあって「自転車でスマホ? 別にいいじゃん」になった。

それが今だ。私にはそう思える。

ちなみに「スマホホルダー」をハンドルに付けた場合はどうなるか。

スマホホルダー自体は禁止されてはいない。この場合、クルマのカーナビと似た扱いになる。要するに2秒以上注視したらアウト。また走行中に操作してはならない、というククリだ。このあたり「あまり望ましくはないが、片手運転でスマホを見るよりはマシ」という扱いになるわけだ。