「高齢者をだますのもたいがいにしろよ!」
不審に思った亀男は急遽帰省して、鶴子と一緒に銭本からの説明を受けることにしました。
銭本は「途中で引き出すこともできますよ」などと、口なめらかに保険商品のメリットを説明しますが、亀男の顔はみるみるうちに硬直していきました。
まさか不動産以外の全財産3000万円を生命保険1商品に突っ込むとは思っていなかったからです。
「あのさ、あんた、やりすぎだろ。おふくろにどうやって取り入ったか知らないけど、高齢者をだますのもたいがいにしろよ!」
亀男は激怒して銭本を追い返しました。
亀男の剣幕に鶴子もようやく我に返って事の重大さを悟ったのか、しょんぼりしてしまいました。
そんな鶴子を見て、亀男は反省して言いました。
「あのさ。俺、もうちょっと帰省するようにするよ」
「生命保険で相続税対策」はウソではない
銭本は「生命保険を相続対策に活用できる」と鶴子に言いましたが、これはウソではありません。というのも、生命保険は、亡くなった人の遺産ではなく、受取人固有の財産と見なされるからです。
ということは、生命保険は原則として遺産分割対象ではありません。
相続財産ではないので、相続人が相続を放棄しても受け取ることができるのです。
つまり、被相続人が特定の人にスピーディーに財産を渡して、スピーディーに現金化させたいときに、生命保険は大いに役立ちます。