アパートの価値が大きすぎて分けられない

長女の友美は結婚して隣町に住んでいました。

正平が亡くなって、友美と源一郎が財産を相続することになりました。正平は遺言を残していませんでした。

アパートの評価額は1億円、自宅は2000万円、預貯金は1000万円。資産総額は1億3000万円で、2人で分けると6500万円ずつです。

ところが、たとえ自宅を売却しても、アパートの価値が大きすぎて均等に分けることができません。

源一郎が1億円のアパートを相続して、自宅と預貯金の計3000万円を友美が相続すると、差額は7000万円。源一郎は友美に7000万円を渡さなければなりませんが、無職の源一郎に貯金はないし、銀行がお金を貸すはずはありません。

「働きもしないで相続」は納得できない

しっかり者の姉である友美は、表向きは冷静さを保っていました。

しかし本音では、「源ちゃんは働きもしないで、散々親に世話になっていて、相続でもたくさん持っていくなんて、納得できない」と思っていたのです。

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「働きもしないで相続」は納得できない(※写真はイメージです)

結局、アパートを売却して遺産を均等に分けることになりました。

実はこのアパートが利回り10%前後の優良物件で、不動産会社に仲介を依頼すると、あっという間に買い手がつきました。

せっかく正平が源一郎のためを思って建てたアパートでしたが、こうして手放すことになったのです。