相続税は10カ月以内に現金納付が原則

一方で相続税対策とは、相続税の節税対策です。

もしも相続税がかかるなら、納税資金対策も欠かせません。相続税は10カ月以内に現金納付が原則ですから、仮に資産価値の高い不動産を相続したとしても、納税資金がなければ困ることになります。納税資金をどう工面するかがポイントです。

しかし、この3つで優先順位をつけるなら、私は争族対策が一番だと考えています。いかに争いごとが起きないようにするか、それが相続においては最も重要なのです。

9割以上の人は相続税とは無縁

そもそも、相続税を払う人は全体の何%くらいなのか、考えたことがあるでしょうか?

国税庁の調査によると、2022年に相続税が課税された割合は9.6%でした。

もちろん財産が多い人は相続税が課税される可能性が高いですが、世の中の9割以上の人は相続税とは無縁だということです。

ちなみに、2015年の税制改革以前は、相続税が課税される割合は、わずか4%強でした。

「相続するときは相続税の負担が大きそう」というイメージがあるかもしれませんが、実はほんの一握りの富裕層の悩みなのです。

実際に図表3の「相続税早見表」を見ると、億単位の遺産がない限り、相続税の負担はそれほど大きなものではないことがわかります。

【図表3】相続税早見表
出典=『あるある! 田舎相続』(発売:講談社、発行:日刊現代)

つまり、日本国民の9割以上は相続「税」対策は不要といえます。