高い娯楽性
“攻めた”設定や演出は、ストーリー展開で快作に結実する。
騙す地面師グループ、騙される「石洋ハウス」、追う警察側の手に汗握る攻防とともに、三者の中にさまざまな葛藤や軋轢が展開するからだ。つまり地面師詐欺の成否という大きな波に、三者内の人間関係という中規模の波が絡み、さらに個々人の思いや事情という小さな波がまとわりついている。
まずは警視庁捜査二課の事情。
『ルパン三世』の銭形警部を彷彿とさせる辰さん(リリー・フランキー)は、ハリソン(豊川悦司)逮捕を宿願としていた。捜査二課ではなく一課を希望する倉持(池田エライザ)の着任を好機に、実務研修を口実にハリソン捜査を勝手に続ける。
ところが良い線まで迫るが、内通者のせいでハリソンに殺されてしまう。その執念と無念を、倉持が引き継ぎ詐欺事件の解明につながっていく。
騙される「石洋ハウス」も企業“あるある”だ。
この案件に当初から懐疑的な須永(松尾諭)の意見は、出世競争のライバルであり会長派に属するゆえに、社長派の青柳(山本耕史)には届かない。当初の開発計画が頓挫したため、パワハラ気味に部下を叱責しコンプライアンス無視で失地挽回に邁進する。そこに派閥争いの構図がピタッとはまってしまう。
不動産大手といえども騙される必然性があったのである。
そして地面師グループの崩壊。
高度に専門知識や能力を持ちながら、それぞれが一匹狼ゆえ詐欺の規模が大きくなり報酬が高くなるにつれ不協和音が生まれる。そしてハリソンの強権性と異常性に、次々とメンバーは離脱し始め、消されていく。アブノーマルな集団の維持が、いかに難しいかが数少ない教訓だろうか。
「おもしろすぎて2日で見てしまった〜!」
「騙す側・騙される側・追う側の濃厚なやりとり、大胆でグッと引き込まれると同時に、それぞれ地道な積み重ねも描かれてて面白かった」
「(三者の)人間模様も“わかるー! 組織ってー!”ってなった」
SNSにある通り、ドラマの優れた点を視聴者は喝破しており、これらが絶好調の理由であることは間違いない。