各国に共通するのは「モナカアイス」人気

ケーキの台は船便、果物は航空便で運び、店頭で合体させるのがシャトレーゼの創案だ。台の部分を船で輸送することで商品の価格を抑えている。もし、ケーキ全体を毎日のように空輸していたら、ケーキひとつの値段がバカ高いものになってしまうだろう。

同社海外事業部の部長、渡邊秀太郎はメールの回答で次のように教えてくれた。

「アジア各国への輸出方法はどこも基本は冷凍船便です。そうして商品価格を適正にしています。国によって売れる商品は少しずつ違っていますから、ひとことでは申し上げられません。全体感としてお伝えできるのは『アイスクリーム』です。

昨今、日本のアイスクリームがアジアで流行っているという報道がありますが、確かにアイスクリームの販売比率は各国で年々伸びています。特にクリーム系のモナカアイスの支持は高いです。

シャトレーゼの海外展開は路面店ではなくショッピングモールが中心です。これまでは食べ歩きの需要を狙ってアイスクリームのバラ販売に注力してきましたが、今ではアジアでも家庭用冷凍庫の普及率が高まっていますから、持ち帰り需要を作っていこうと取り組みを始めています」

筆者撮影
ショーケースの様子。日本産の果物はタイ人や欧米の観光客に大人気で、イチゴ、白桃、シャインマスカットのケーキがよく売れるという

「日本産果物」のケーキをリーズナブルな値段で

わたしが訪ねた店舗はバンコクの中心、BTS(スカイトレイン)のチットロム駅に直結しているモール、セントラルワールドのなかにある。セントラルワールドにはショップ、レストラン、フードコート、スーパーマーケット、シネマコンプレックスがあり、店舗の数は500以上。巨大モールである。

シャトレーゼの店舗があるのは3階。エレベーターを上がっていくと、目の前にある。並んでいたのはケーキ、焼き菓子、和菓子、せんべい、実演販売のアップルパイなど、店頭の様子は日本の店舗と変わらない。また、販売するだけでなく、店内にはカフェがあり、カフェラテ、抹茶ラテなどが飲める。

筆者撮影
日本でもおなじみのアップルパイや焼き菓子も豊富に取り揃えてあった

店舗に掲げた看板の表記はアルファベットだった。店内の値札はタイ語と英語の表記で、ところどころに「日本直輸入」と書かれた文字が貼ってあった。

イチゴのショートケーキがホール(14センチ、直径)で850バーツ。約3400円。日本だと2700円だから、日本人観光客にとっては少し高いと感じるかもしれない。しかし、日本産果物と生クリームを使っていることもあって、タイ人は非常にリーズナブルな値段だと捉えている。高価なケーキとは思っていない。

ちなみにわたしが訪ねた7月は日本産イチゴの旬が終わっていたので、ショートケーキはカリフォルニア産のイチゴを使ったとのこと。