一冊の本の中核は全体の2割もない

部分を積み上げて全体を理解するのではなく、全体を把握したのちに部分を理解するように心がけます。そのほうが効率的だからです。独学の基本は読書ですが、「読む」前に、15分ほどでパラパラとめくって「見る」ことが大切です。

そうやって読む価値があるか否かを判断したうえで、読みたいと思ったところから読み始めます。筆者の問題意識による章立てが、読み手にとっての重要度に合致するとは限らないからです。目次、索引も、先に読むべき箇所を探す参考になります。私の考えでは、索引のない本は本ではありません。

ビジネス書や実用書を、1ページ目から読む必要はありません。その習慣は非効率的ですし、読む価値がない本は途中でやめてしまうことです。一冊の本の中核は、全体の2割もないものです。読む価値がある本の自分が知りたいと思っていることが書いてある部分だけ、読めばいい。途中でやめるのは、その本に価値がないためであって、読み手の責任ではありません。

山登りをするとき、途中では視界が開けませんが、頂上に立てば下界が一望できます。勉強も同じで、ある程度進んでから振り返ると、概念の意味や位置づけがわかるのです。全体像を把握するためには完璧主義を捨て、8割わかったと思ったら残りの部分は飛ばして、先へ進む割り切りが必要です。

私は「ヘリコプター勉強法」と呼んでいるのですが、8割しか理解しないままで頂上に立つには、そこへ連れて行ってもらう手助けが必要です。かつては百科事典でした。現在はネットの検索エンジンや生成AIが、強力な武器となります。

新しいテクノロジーはとっつきにくいものですが、決して敵と見なさず、味方として認識したほうが有利です。中でもChatGPTは、強力なヘリコプターの出現だといえます。便利なだけでなく、勉強を面白くしてくれます。まさに「勉強革命」と呼ぶべきツールであり、活用できるか否かは成果に直結します。