「一人客お断り」「1人グラス3杯」…揉めがちなルールの代表例

トラブルになりがちな独自ルールにはどんなものがあるか。いくつかに分類してみよう。

●利用人数

これだけ「おひとりさま」が定着した現在でも、1人で利用できない店は多い。2人で分けることが前提のボリュームになっていたり、テーブルの稼働率を上げたりするためだ。

●メニュー変更

“おまかせコース”一択の店の中には、アレルギーや好き嫌いといった特別対応を全く受け付けないところがある。食材の変更や別メニューの提供がされなければ客は必然的に該当料理をパスするわけだが、その分の値段は割り引かれないことが大半だ。

●注文点数

1人1品以上の料理を必須としたり、1ドリンクを求められたりする店は多い。それでいて、居酒屋を中心に、有料のお通しが勝手に提供されることも根強い議論の種だ。お酒を売りにした店であったり店主がお酒好きであったりすれば、「2人でボトル1本以上」「1人グラス3杯程度」など、それなりの分量のアルコールの消費が定められている場合もある。

●注文方法・食べ方

ある有名ラーメン店のグループでは、トッピングやボリュームなどのオプションも含めた呪文のようなオーダーを唱えなければならないことがよく知られている。

一方、ファインダイニングでは、数品が同時に提供されて指定された順番通り食したり、途中でトッピングやコンディメント(調味料)を加えたりと、“最善の喫食方法”を半ば強要されることもある。「好きに食べさせろ」と思う人はいるだろう。

●支払い

クレジットカードやQRなどのキャッシュレス決済に関して、独自ルールを設ける店が増えている。「ランチでは使用不可」「5000円以上の支払いのみ対応」「手数料10%上乗せ」といった、本来は決済サービス会社の規約で禁止されているはずの運用をしていれば客は不満を抱く。

さらに極端なケースだと、最低3万円を超えるような高価格帯であるにもかかわらず、頑として現金しか対応していない“吝嗇なラグジュアリーレストラン”も存在する。そうした店は顧客層からも敬遠されがちだ。

●キャンセル料

飲食店はハコもの商売なので、その時その席に客が入らなければ売上機会を逸してしまう。したがって、ノーショー(無断キャンセル)やドタキャン(直前キャンセル)に対して、キャンセル料をとることは珍しくない。通常であれば3日程度前から、長い場合には1週間前くらいから、キャンセルポリシーに従ってキャンセル料が請求される。

しかし、超がつくような予約困難店にもなると、1カ月前あるいは予約した瞬間からペナルティーが発生することがある。そのタイミングでのキャンセルによってどれだけ被害が生じているのか、客側としては疑問だろう。後述する通り、そうした店の顧客層は限られるため炎上にまで発展することはめったにないが、かなり慎重になって予約せざるを得ず、評判が悪い。