頭の真下に背骨があれば猫背にはならない

先ほども触れましたが、背骨は上下から押しつぶさないと安定せず、猫背になっていきます。猫背の状態では、背骨は「柱」として機能せず、それどころかどんどん後ろ側に出ていく力がかかります。

背骨が安定していないと、自然と猫背になってしまう(出所=『読むと「全自動」で健康になるすごい本』)

図表3の左の人の通りです。重力が常に上から下へとかかっていますので、頭の重みでどんどん猫背になり背骨が後ろに出ていきます。腕も下にどんどん落ちていきます。右の人は、頭が落ちようとしても、その下に背骨があるので、背骨が「つっかえ棒」のようになり頭は下がりません。

下がらないどころか、その力がそのまま背骨を安定させる「柱」の力に変換されています。腕も背骨に近い後ろの位置にあるので、背骨に「引っかけやすく」なって、落ちていきません。

右の人と左の人とでは、まるで逆の力がかかります。骨盤の回転で背骨を上げないと、左の人のように背骨はどんどん後ろへ逃げていき、胸やお腹側はつぶれていきます。逆に、右の人は背骨がつぶれたことで、胸やお腹側は開放的です。赤い矢印で書くとよく分かりますね。どちらが健康的かは誰でも分かるでしょう。

柱は「ど真ん中」に置かないと力を発揮しない

そしてこれは、肉体の物理面だけでなく精神面にも大きく影響します。見た印象の通りです。左の人は矢印が後ろに出ていきます。これはあらゆる物事に対しても同じ「後ろ向き」の矢印が働きます。「どうせ私なんて」とか「それを引き受けるのは怖い」「もう逃げたい」みたいなネガティブで消極的な矢印です。

一方、右の人はどんどん進んでいくイメージですよね。ポジティブで積極的でありながら、オープンな感じがします。見た印象そのままです。私の整体は、このような考えで体もます。実際の肉体にかかる矢印が、すべての事象にそのまま出る。自分の体の矢印を知ることは、自分の状況や心持ちも変えていく可能性を秘めているのです。

背骨の「柱としての機能」の重要性は、建物で考えるとよく分かります。普通の建物は、四隅の柱で屋根の重みを支えています。人間も複数の柱が体を支えてくれればよいのですが、誰が決めたのか、私たちには背骨は1本しかありません。柱が1本しか使えないならば、どこに配置したいでしょうか? 当たり前ですが、柱は「ど真ん中」に置きたいですよね。

人体においても同じで、できるだけ体の中心に柱を置きたいところです。ところが、人の背骨は背中側にあります。この背骨を少しでも真ん中に持っていきたいのです。