相手の肩書や地位などで良し悪しを決めない

いずれの場合でも、「基礎的なこと、根本的なことを丁寧にわかりやすく説いてくれる人であること」「どんな意見にも耳を傾けてくれ、こちらがたとえ稚拙な意見を述べてもバカにせずに、一緒に考えてくれる人であること」「独自の視点をもっている人であること」「世間一般の常識・定説に拘泥しない人であること」を基準に探すといいでしょう。

その際に、単に相手の肩書や地位などで良し悪しを決めないことも重要です。

たとえ高名な学者であっても、一流とされる大学の教授や名誉教授であっても、見識張っているだけの質の悪い人はいくらでもいます。

また、師匠と言うと、どうしても年上のイメージがありますが、みなさんの年齢からして上の世代は、知識や考え方がすでに古びたまま、何年もバージョンアップされていないような人もいます。

ですから、有名な人で自分より年上ということにこだわらないほうが、むしろいいのです。思いきって、伊能忠敬のように自分よりずっと若い世代に師匠を求めるのも素晴らしいことです。

いままでなかなか味わうことのなかった、新しい知見に触れたいと思うなら、若い師匠を探す努力をしてみてもいいのではないでしょうか。誰を自分の師匠にするかということは、こちら側の選択眼が試される場面でもあるのです。

人生で「目標にできる人」の存在効果は絶大である

ロールモデルを意識する――らくらく学習のコツ③

人生の充実度を上げ、楽しく生き抜くために必要なものなのに、ほとんどの人が見落としているものがあります。それが「ロールモデルの設定」です。

みなさんは、これまでの人生で自分にとってのロールモデルを意識したことはありますか?

ロールモデルとは、ある役割を担う見本や模範となる人を指します。わたしたちが人生を歩むにあたっては、こうした目標にできる人の存在効果は絶大です。

写真=iStock.com/RichVintage
※写真はイメージです

たとえば、中学生にとってのロールモデルの例ですが、参考になるので少しお話ししましょう。

わたしは、「エンジン01文化戦略会議」という団体に所属しています。これは、いま日本の各分野で活躍する表現者・思考者などが結集し、新しい文化風土を醸成するために、全国各地でさまざまな活動を展開することを目的としています。

現在は私が幹事長を、副幹事長には作家の林真理子さんや井沢元彦さんらが務めています。

このエンジン01では毎年1回、地方都市でオープンカレッジという大きなイベントを開催します。

ある年、鳥取県で開催されたオープンカレッジで、わたしは大会委員長を務めたのですが、当時、エンジン01のメンバー200人以上のなかに、鳥取県出身者はいませんでした。

しかし、鳥取県について調べてみれば、水木しげる先生をはじめ青山剛昌あおやまごうしょう先生など、著名な漫画家を輩出している県ではあるのです。