日本にとっては、どちらの勝利がいいのか

では日本経済の先行きを考えたとき、トランプ氏とハリス氏のどちらが大統領になるのが望ましいのか。

前述の通りハリス氏は詳細な経済政策を発表していないが、現バイデン政権を踏襲する場合、日本経済への影響は小さいだろう。一方、トランプ氏が勝利した場合には、2016年にトランプ氏が大統領に就任したときと同じように「トランプ・ラリー」と呼ばれる株価上昇が起こると予想される。トランプ氏が掲げる所得税減税や経済優先の政策が、市場の期待感を醸成するからだ。トランプ氏の政策にはインフレ懸念があるが、大統領や実業家としての経験から、実際にはインフレを上手にコントロールしながら経済成長させることに腐心するはずだ。

アメリカの好景気は日本の好景気にもつながるので、経済だけを考えるとトランプ氏勝利のほうが日本に恩恵があると言えるかもしれない。

ただしトランプ氏は前述の通り経済優先で、気候変動を「フェイクニュースだ」と言い、反ESGの主張をしている。〈なぜAppleは「環境に優しい」と連呼するのか…多くの日本人が気付いていない「世界のビジネスの新常識」〉でも解説したように、気候変動対策は待ったなしの状況であり、ビジネス界においても共通の課題となっている。短期的な利益のために年々深刻化する気候変動への対策を怠ることには不安が残るところだ。

もっとも、気候変動問題よりは経済問題を優先すべきと考える有権者は多い。ハリス陣営には、気候変動対策と同時にトランプ陣営を凌駕するような経済政策を明快に打ち出すことが求められている。

(構成=野上勇人)
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