千鳥・大悟と松本人志の違い

誰もが憧れ尊敬の対象となり、お笑い界の頂点に君臨していたカリスマ・松本人志さんが活動停止中となっている現在、松本さんが長年座っていた「帝王の玉座」は空席。

日本のお笑い界もバラエティー番組もカリスマ不在の時代を迎えている。そんな中で、大悟さんは松本さんがMCを務めていた「酒のツマミになる話」の代わりを務め、メインのレギュラー番組が増加。その状況から、「ポスト松本人志」と形容されている。

萩本欽一さん、ビートたけしさん、明石家さんまさん、とんねるずさん、ダウンタウンさんなど、お笑いの世界で「天下取り」を果たしてきた芸人たちは、今もカリスマとして君臨し続け強烈な後光は放つ。

だが、テレビのメディア力低下や各賞レースの台頭により、「天下」の基準が曖昧になっている。最近の若手お笑い芸人の意識としては、カリスマに挑んで天下を取ることよりも、共生の意識が強いのではないか。

その点で、取材の終盤にディレクターのソマさんが語ったことが非常に印象的だ。

「僕にとって大悟さんはお笑い新時代の海賊王です。ワンピースのルフィみたいに色んな人をどんどん仲間にしていっている。

松本人志さんみたいな超天才は一人で天下を取りましたが、今はみんなと調和しながらやっていく時代だと思っています。

大悟さんがテレビ業界から引っ張りだこになっているのも、大悟さんという“お笑い船長”が率いる海賊船に芸人もテレビマンも乗りたいのだろうなと思います」

写真=iStock.com/Denis-Art
※写真はイメージです

カリスマが語った「お笑いの境地」

カリスマ不在の中で混沌としている今のお笑い界やバラエティー番組においては、「天下を独占」ではなく「天下を山分け」する形が、正解になっていくのかもしれない。

最後に2021年5月2日に放送されたバラエティー番組「ぼくらの時代」(フジテレビ系)に出演した松本人志さんが語ったお笑い観についてご紹介したい。

「宮本武蔵の『五輪書』をなぞられていた時期があって、日本一のお笑いになりたいと。(5つの章がある中で)勝手に漫才・コント・大喜利・トークで一番になると決めていたんです。そして『五輪書』の最後の章のくうが“調和”なんですね。結局最終的には調和なんだって。笑いで一生懸命やっていても、みんなが面白ければいいじゃないっていう。この場が楽しければいい」

松本人志さんが最後にたどり着いたお笑いの境地「調和」。これを今、一番体現している芸人は、千鳥の大悟さんではないだろうか。

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