出演者の長所を見つけて伸ばす

思えば大悟さんは順風満帆な芸人人生ではなかった。

最大11本あったという大阪でのレギュラー番組のほとんどを降板し、満を持して上京するも、東京で新たに獲得したレギュラー番組は相次いで早期終了。東京のバラエティー番組の空気にも馴染めず、伸び悩んでいた時期もあった。

だからこそ「思うようにいかなくて足搔いている芸人」の心情は誰よりもよく理解しているのではないか。

「大悟の芸人領収書」はゲストのお笑い芸人がレシートを清算してもらうための面白エピソードを披露するのがメインである。素材を出すのが芸人なら、素材に味付けするのが大悟さんの役割となる。どんな話でも絶対に最後は笑いに導く大悟さんのコメント力が番組の生命線である。

「相手を輝かせようという大悟さんの気持ちがすごく伝わります。以前、小倉優子さんがゲストの際、オープニングトークで『コリン星』の話題が出ました。その後の収録の中で、大悟さんは『コリン星』の話題を彼女に振りました。相手の長所を出して立てる気遣いが素晴らしいなと思います」(羽生さん)

「この番組はエピソードトークがメインなので、最後まで話を聞いた上でどう返したら一番面白くなるのかを大悟さんはすごく大事にされているかと思います。あと大悟さんの返しのコメントがめちゃくちゃ面白いですが、実はエピソードを出した芸人さんがちゃんと面白いと評価される方向になってくるのがいつも凄いなと思います」(淺沼さん)

この人に面白いと判定してもらいたい

コンプライアンス遵守の令和のテレビ界において地上波レギュラーは13本(コンビ含む)。千鳥、特に大悟さんの快進撃は止まらない。

現場で共に番組を制作するスタッフはこの状況をどのように捉えているのだろうか。

「千鳥さんの番組はお笑いがメインの番組がほとんどです。芸人さんが誰に面白いと判定してもらえたら納得するのかと考えた時に、真っ先に名前が上がるのは千鳥さんであり、大悟さんなのです。芸人サイドから信頼されているということが制作側にも伝わっているからこそ、テレビ業界から引っ張りだこになっているのではないでしょうか」(淺沼さん)

「大悟さんはSNSをやっていません。ABEMAやNetflixなどネット配信の番組には出ていますけど、トーク力を武器にしてお笑いメインの番組だけをやり続けている。その大悟さんの生き様と覚悟に『一緒に仕事をしたい』と思うテレビマンの方々が多いからだと思います」(ソマさん)