皇室の平和への願い
去る8月15日、終戦記念日。天皇・皇后両陛下には、日本武道館で行われた全国戦没者追悼式にご臨席になり、黙祷の上、おことばを述べられた。
この日、敬宮(愛子内親王)殿下は例年通り、御所で黙祷を捧げておられる。
「8月」は日本人にとって、今も特別な感慨を抱かせる月であり続けているのではないだろうか。もちろん、先の大戦が終結してすでに80年近くの歳月が流れた。だから世代も移り、記憶も風化をまぬかれないだろう。
それでも普段は日常の忙しさにかまけてほとんど気にかけることもない、「平和」について改めて気持ちを向けさせる何かがあるのではないか。
昭和の戦後時代には、あたかも天皇・皇室が戦争の大きな原因であったかのような見立てが、漠然と多くの人たちに受け入れられていた時期もあった。それが反天皇・反皇室的なムードにつながっていたりもした。
しかし、戦後の歳月に平和が声高に語られる中で、誰よりも切実に平和を念じておられたのは昭和天皇であり、皇室の方々だったのではなかろうか。そして、その皇室の平和への願いを最もまっすぐに受け継いでおられるのが、ほかでもない令和で唯一の皇女でいらっしゃる敬宮殿下ではないだろうか。
愛子さまを詠んだ皇后さまの和歌
たとえば今年の歌会始のお題は「和」だった。そこで皇后陛下は、敬宮殿下の作文について詠んでおられた。
平和への
深き念ひを 吾子は綴れり
このみ歌について、宮内庁は以下のような解説を付けていた。
日頃から平和を願われ、平和を尊ぶ気持ちが次の世代に、そして将来にわたって受け継がれていくことを願っていらっしゃる天皇皇后両陛下には、このことを感慨深くお思いになりました。この御歌は、皇后陛下がそのお気持ちを込めてお詠みになったものです」