「金持ち」よりも「思い出持ち」がうまく逝く

人生の終幕を迎えつつある人からよく聞くのは、「死ぬまでに楽しい思い出をもっと残しておきたかった」という声です。

「あのとき、ケチケチしなければよかった」と悔やんでいたと遺族の方から聞くこともめずらしくありません。

お金があって、世界一周旅行に行きたくても、要介護になったらまず行けなくなります。行けるときに行っておかないと思い出はつくれません。

和田秀樹『どうせ死ぬんだから』(SBクリエイティブ)

自分で稼いだお金です。配偶者と貯めてきたお金なのですから、自分たちの幸せのために使うのが当たり前。

それこそ豪華客船で世界一周してもいいし、温泉旅行でもいいし、おいしいものを食べに行くのでも何でもいい。自分の心を満たすためにお金を使い、思い出を残す。

だんだん体が思うように動かなくなり、ベッドの上で過ごす日が多くなる人生の最終段階で、心の支えとなってくれるのは、「あのときは楽しかったな」という思い出です。

多くの高齢者を診てきた私の経験からも、素敵な思い出がたくさん残っている人が幸せに旅立っていくように思います。

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