武富士創業者一族の「史上最大の節税スキーム」

タックスヘイブンを使って税を逃れたケースとして、税務の世界では伝説となっている「史上最大の節税」というものがあります。

これは、武富士の創業者一族が行った節税スキームです。

武富士という会社は、創業者が一代で築き上げたものです。

かつては、東証一部上場しており、創業者が保有している株式の資産は巨額になっていました。

もちろん、創業者が株を持ったまま死亡してしまえば、遺族には莫大な相続税が課されるはずでした。

相続税を逃れるために、武富士一族はあっと驚くような節税を行ったのです。

写真=共同通信社
武富士創業者一族の「史上最大の節税スキーム」(記者会見する武富士の武井保雄元社長、2001年5月8日)

「タックスヘイブン」のオランダに会社を作った

そのスキームとはこうです。

武富士の創業者は、オランダに会社をつくり、自分の持っている武富士の株をそのオランダの会社に保有させました。

オランダは、ヨーロッパの中では税金が安く、また銀行の情報秘匿の伝統もあり、いわゆる「タックスヘイブン」のような国です。

オランダの会社の株は武富士の創業者が持っており、実質的に武富士の会社です。が、形式の上ではオランダの会社ということになっており、その会社の株は「海外資産」ということになっていたのです。

そして、そのオランダの会社の株を、香港に在住している息子に譲渡し、日本の贈与税を免れたのです。