税務署はどうやって申告漏れや所得隠しを見つけ出すのか。元国税調査官の根本和彦さんは「タレコミが情報源になることが多いが、それだけではない。特に例年よりも多い経費を計上した場合は要注意だ」という――。

※本稿は、根本和彦『元国税調査官が捨て身の覚悟で教える「節税」の超・裏ワザ』(SB新書)の一部を再編集したものです。

オフィスでの3人の起業家
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税務調査がやって来る…税務署員の本気度を見分けるポイント

税務調査には、種類というかパターンがあります。大別すると、まず、「事前通知があるパターン」と「事前通知がないパターン」に分かれます。

「事前通知アリ」のほうは、税務署員が会社に電話をして、税務調査に行くことを知らせます。そして、納税者と日程を調整して訪問します。これは、通常のパターンといってよいでしょう。

「事前通知ナシ」の場合、税務署員がいきなり税務調査にやって来ます。このパターンは、ある程度の覚悟をしてください。

すでに、税務署がかなりの証拠をつかんで来ている場合がほとんどです。

もちろん、確実な証拠はなく、決算書や申告書をチェックして脱税の形跡が見られたから来た、というケースもあります。あるいは、銀行口座を見て脱税の可能性が高いと判断したから来た、ということも考えられるでしょう。

いずれにしても、「事前通知ナシ」で来たからには、税務署員側にそれなりの確信というか根拠があります。間違いなく、「事前通知アリ」と比べて深刻度は高いと思ったほうがよいでしょう。

深刻度が違う…「事前通知アリ」の場合の3パターン

また、「事前通知アリ」の場合でも、次の3パターンがあります。

①事前通知をせずに調査するほどではないものの、所得を隠していることが濃厚で、
しっかりと追徴課税を狙っている場合
②会社の売上げが増加していて黒字が続いているので、念のための確認で来ている場合
③たんなる件数ノルマ達成のために来ている場合

深刻度の高い順でいえば、①・②・③となります。

この3つのパターンを頭に入れたうえで税務署員の対応を見ると、どのパターンに当てはまるかがある程度わかると思います。

あと、調査の時期からもわかったりします。

税務署には、7月に定例の人事異動があります。そして、7月から新しいチームが発足し、税務調査にあたるのです。翌年の人事異動は、前年の実績で決まるので、7月から12月までの調査は、税務署員たちの気合が入っていると思ってください。