企業や個人事業主の確定申告に対して、税務署は申告内容を詳しく調べる「税務調査」を行うことがある。元国税調査官の根本和彦さんは「税務署員もノルマを抱えたサラリーマン。ノルマ達成のために、調査時にウソをつくことがある」という――。

※本稿は、根本和彦『元国税調査官が捨て身の覚悟で教える「節税」の超・裏ワザ』(SB新書)の一部を再編集したものです。

日本のビジネスマン
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税務署員には「ノルマ」がある

「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」

このあまりにも有名すぎる『孫子』の言葉どおり、まずは、税務署および税務署員の手の内を明らかにすることから始めましょう。

税務調査とは、毎年行われている企業や個人事業主の確定申告に対して、申告された内容が正しいかどうかを税務署がチェックすることです。

おもに株式会社などの法人が事業活動で得た所得にかかる税金が、法人税です。法人税は申告納税制度になっており、申告する人が、自分の会社の所得と税額を計算して納付します。

申告の内容が正確であれば問題ありません。しかし、単純なミスや、税制を理解していないことによる間違い、さらには、意図的な虚偽の申告などが存在します。そこで、税務署が調査をするわけです。

じつは、この税務調査には「ノルマ(=目標)」があることをみなさんはご存じでしょうか?

もちろん、税務署や国税庁に「ノルマがあるんですか?」と聞けば、はっきりと「ないです」と答えるでしょう。さすがに、誰にでもわかるような形で示されることはありません。

ところが、税務調査には実質的なノルマがたしかに存在しているのです。

税務調査の件数、納税額を上積みさせたい…

税務署では、年度当初に事務計画というものを作成します。その中で、税務調査に割り当てる日数が発表されます。

その日数を合計して、「この期間があれば、税務調査はこれくらいできるな」という判断のもと、税務署の各部門に税務調査の件数を提示します。