田中角栄が使った「ファミリー企業」
でも、田中角栄は、そうではありませんでした。
昭和54(1979)年春のことです。田中角栄は、ファミリー企業をたくさん持っていて不動産業などを大々的にやっておりました。
ファミリー企業の一つに、遊園地の経営などをしている「新潟遊園」というのがありました。
この新潟遊園が所有地の一部を宅地化する計画を打ち出したのですが、それを知った新潟市役所は、その土地を買収して市立公園にするように決めました。
昭和56(1981)年に新潟市役所から新潟遊園に9億円が支払われました。
でも、このときの新潟遊園は、元の新潟遊園ではありませんでした。東京ニューハウスという会社に合併されていたのです。
登記の操作だけで税金をゼロにした
東京ニューハウスは、新潟遊園を合併した後に新潟遊園に社名変更をしていたのです。
同じ新潟遊園という社名ながら、会社は違うものになっていたのです。
新潟市役所はそれを知らずに、前のままの新潟遊園だと思って、そのまま土地の代金を渡しました。
新しい新潟遊園には4億円の赤字が残っており、土地の売却で得た利益はその赤字で丸々消えてしまいました。
古い新潟遊園には赤字などなかったために、本来であれば数億円の税金がかかっていたはずです。
しかし、田中角栄は、登記の操作だけで税金をゼロにしてしまったのです。