相続税対策はほぼ完璧だった

また、田中角栄自身は会計や税金に詳しかったのですが、さらに優秀なブレーン税理士たちも抱えていました。

その優秀なブレーンたちは、田中角栄の死後も目覚しい働きをしました。

田中角栄が死んだとき、相続税対策はほぼ完璧になされていました。

田中角栄の死亡時、莫大な遺産のほとんどは、田中角栄ファミリー企業の株という形で残されました。

田中角栄の代名詞とも言える「目白御殿」や別荘なども、ほとんどが田中角栄が直接所有しているのではなく、田中角栄の会社が所有していることになっていたのです。これは、相続税対策として大きなポイントです。

300億円の税金を65億円に抑えた

相続税というのは、「残された遺産×税率」で算出されるものです。

遺産は、すべて時価で評価されるというわけではありません。

大村大次郎『脱税の日本史』(宝島社)
大村大次郎『脱税の日本史』(宝島社)

遺産が現金や預金だった場合は、その額がそのまま遺産額となります。でも、土地や建物、自社株などだった場合は、時価よりもかなり低い価額になるのです。

田中角栄の資産は、400億円以上あるとされていました。田中角栄のファミリー企業が、所有している土地の評価額だけでも、それだけの資産価値があったのです。

しかし、田中家の遺族が納めた相続税は65億円です。

当時、相続税の税率は70%だったので、普通に考えれば、400億円の相続財産には300億円程度の相続税がかかります。

それを田中家は65億円に抑えたのです。

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