田中角栄が使った脱税手法

脱税摘発のニュースで、時々「幽霊会社」や「ペーパーカンパニー」という言葉が出てきます。

「幽霊会社」といっても、もちろん幽霊が経営している会社ではありません。実体のない会社ということです。

こういう会社は脱税によく使われます。

「幽霊会社」や「ペーパーカンパニー」を脱税に使う手法の走りは、実は田中角栄でした。

しかし、田中角栄は脱税で摘発はされていません。幽霊会社を使って、見事に税金を逃れることに成功しているのです。

羽田空港で出迎えの人たちに手を振る田中角栄元首相
写真=共同通信社
田中角栄は摘発されなかった(羽田空港で出迎えの人たちに手を振る田中角栄元首相、1972年9月)

幽霊会社を使った脱税は簡単にばれる

幽霊会社を使った「脱」税方法というのは、大まかに言えば次のようなものです。

大きな利益を上げたA社という会社があったとします。A社はこのままでは、莫大な税金を払う羽目になります。

そこで、登記上だけ存在するB社(幽霊会社)をどこからか持ってきて、A社の利益をB社に移転させます。

B社には帳簿上赤字が残っています。そのため、B社は利益を移転されても税金はかかりません。これで、A社もB社も税金を払わなくて済む、これが幽霊会社を使った「脱」税の構図です。

もちろん、本当はA社の利益なのにB社の利益に見せかけるのですから、不自然が生じます。B社には実体がないのにB社が利益を上げるのはおかしいし、国税当局も馬鹿ではないので見過ごしたりしません。

だから、幽霊会社を使った脱税は簡単にばれるのです。