先生によってテキストが違うことも

「私のクラスでは違うテキストを使います。勉強のゴールは同じなので心配しないでくださいね」

3歳から義務教育がはじまるフランス。子どもたちが学校に入学してまず驚くのは、机と椅子の配置が先生によって異なることです。それは小学生になってからも変わりません。クラスでは、その先生の個性が尊重されているのです。

また、日本では、みんな同じ教科書を使いますが、フランスでは先生によってテキストやプリントが違うこともあります。

さらに、英語や物理など、ほかの先生よりも得意な教科がある先生の場合は、1人の先生が複数のクラスを受け持つといった、日本ではなじみのないことが次から次に登場します。仕事でも同じことが言えますが、みんな同じ目標を持っていても、決められた時間をどのように使うかは個々の判断ですよね。

先生たちは学校という枠の中でも各々のスタイルを確立できるので、これはやりがいがあるだろうなあと思いました。

自分だけで抱えない

「『自立する』とは、必要なときに頼れるということ」
ロッコ『主役はいつも“私自身”フランス人に学んだ「本当の感性」の磨き方』(大和出版)

フランスで子育てを通して出会った助産師さん、保育士さん、小児科医の先生、学校の先生……、診察や面談などで、よく「『自立する』とは、必要なときに頼れるということ」と言っていました。

移住して間もない頃は、「フランス人女性はみんな子育ても仕事も両立していてすごい。私も頑張らなきゃ!」と、1人で奮闘し、周りが見えなくなっていました。抱えきれなくなって心がしぼんでしまったことが何度もあります。でも、みんな自分だけで子育てをしているのではないことがよくわかります。

家族や子育てのプロなど、心強いパートナーにしっかり頼っているのです。そう、これが自分の限界を知り、行動できる、自立した人。ひとりで頑張るのではなく、「頼ること」の成功体験を繰り返して、私も「お願いして断られたらどうしよう」と不安になることがなくなりました。

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