アイビーリーグで行われたアファーマティブアクション
男女比率の格差を解消する方法というと、たとえばクオータ(quota)制(※)などを採用して、女子比率を3〜4割とかに割り当てるとかはすぐ思いつきますよね。東工大も女子学生比率について現在の10%からまずは20%を目指すとか、東大をベンチマークにすると言っています。悪くはないですが、それだと女子学生比率を少し改善するだけなので、効果が現れるにはずいぶん時間がかかりそうです。そうなると、やはり4割など、そういう目標にしないとダメそうですね。
※クオータ制:格差是正のためにマイノリティに割り当てを行なうポジティブ・アクションの手法。たとえば政治の分野では、議会の男女間格差是正を目的として、性別を基準に両性の比率を割り当てる。
アメリカの大学だと、もともとアイビーリーグはすべて男子校だったところに女子を受け入れたので、最初はアファーマティブアクション(積極的な格差是正)をやりました。元々コミュニティカレッジとかにいた女子学生たちをバッと入れるわけですから、成績面等では差があります。
実力で採ると女子のほうが多く入学してくるようになった
そこで最初はある種の下駄を履かせたんですけれども、すぐに下駄は必要なくなって、いまは実力で採ると女子のほうがたくさん入ってきちゃうから、逆アファーマティブアクションみたいなことを一部ではやっているそうです。
つまり、SATⓇ(大学進学適正試験)のスコアやエッセイとかだと女子が好成績になるので、男子も多少は入りやすくなるように入学基準を調整している大学もあるんじゃないかっていう話ですね。
それっていつ頃ですか?
ぼくが留学したプリンストン大学は、実はアイビーリーグのなかで女子学生を受け入れたのが一番遅いらしいんです。ある意味もっとも保守的で、共学化したのは結構最近、1969年です。20世紀も後半ですね(※)。
※『なぜ東大は男だらけなのか』矢口祐人(集英社 2024年)参照。
男女同権どころの話ではなくて、そういう意味ではとても遅れていました。
しかし、いまはもう男女比率はほぼ半々になっていて、アメリカの大学は大体そうです。それは裏事情もあって、50%からすごく乖離すると、女の子が多くても少なくても大学のランキングが下がるんですよ。