文学部ですら女子比率が3割を切る東大
ぼくの前任校の東工大は、そもそも女子学生が少なすぎて、入学者比率でいうと女子学生率は10%くらいでした。
そんなに低いのですね。理工系中心の学校だから仕方ない、とまではいわないまでも、どれだけリケジョブームとかいっても、そんなにすぐに理系を目指す女子が増えないという点は理解できます。でも、東京大学は文系学部でも少ないですからね。経済は特に酷くて、2割にも届きません。法学部は経済より多いけど、2割ちょっとくらい。女子学生が多そうなイメージのある文学部でも3割を切っている状況です。
本書の編集者も女性で、「大学時代からずっと男性社会だった」ということを言っていました。地方国立大学の文系出身だと聞いていますが、それでも男性の割合のほうが圧倒的に多かったと感じていたわけです。そういう女性は多いのではないでしょうか。
男社会に少数の優秀な女性を入れてもパフォーマンスは上がらない
これは意外と重要で、男性がマジョリティのところに女性を入れると、優秀な人であってもパフォーマンスが上がらないという事実が知られています。
やっぱり女性はあまり競争的な振る舞いをしない傾向があるので、とりわけ周りに男性社員とか男性のメンバーが多いと、本来ポテンシャルが高くても、自分を出しにくいっていうか、遠慮しちゃう構造があるらしいんですよね。
ある程度の割合まで女性が増えると、その優秀な女性を入れたときにパフォーマンスはすぐ上がるようです。なので、ほぼ男社会のなかに、ちょこっと数名だけ女性を増やすみたいな抜擢をしても、パフォーマンスが上がりにくいんですよ。
結果的にパフォーマンスが上がらない。男性を入れた場合と比べてマイナスだから、女性登用を見送ろう、みたいな誤った結論を導き出してしまう。だから、変えるなら思い切って大きく変えないと、そもそも女性がパフォーマンスを発揮できないってことは、研究では知られているみたいですね。
我々も、もし女性だらけの職場に放り込まれたら関係性形成が困難で、仕事できない気がしますよ。ぼくはただでさえ人間嫌いなのに、そんな職場だと関係性を築くのは難しいんじゃないか。女子会についていくわけにもいかないでしょうし。そういう想像をすると、やっぱり男性だけの職場に女性が少数いると働きにくいですよね。
表面上のダイバーシティは、女性の取締役や従業員を増やせば数字としては達成できるんでしょうけど。まさにダイバーシティ&インクルージョンの後者のほうが課題で、ただ単にちょっと数を増やしても全然インクルーシブな関係にならないんでしょうね。