純資産が多ければPBRの数値は小さくなる

株の割安感を探るための指標「PBR(Price Book-value Ratio)」は、日本語では「株価純資産倍率」といい、純資産に対する株価の比率から、株価の割安感を数値化して見極めることができます。

「株式会社が解散した場合、株主の手元に株主資本(現金)がどれくらい戻ってくるか」を示します。

PBRの求め方とは、簡単にいってしまえば「株価÷1株あたり純資産」となります。この計算式からは、「株式会社が解散した場合、株主の手元に株主資本(現金)がどれくらい戻ってくるか」がわかります。これがPBRから推測できる株価の割安感なのです。

純資産が多ければ多いほどPBRの数値は低くなります。そのため、解散時の株主還元を考えるとPBRの数値は低いほうが株主にとってメリットがあります。逆に、PBRの数値が高ければ、解散時に株主の手元に戻ってくる残余財産の分配金は手持ちの株価の総額を下回ります。

「低PBR銘柄=お買い得」ではない

このため、PBRをチェックする際は、解散時に利益も出なければ損もしない「1」という数値が基準値となります。PBRが1よりも低い数値なら解散時に株主への還元がある銘柄、1よりも高い数値なら解散時に損をする銘柄となります。

時価総額より純資産が多ければPBRは1を下回り、株主にとっては割安となる数値ですが、PBRは低ければ低いほど良いのかといえば、そんなことはありません。

実際に上場企業の「低PBRランキング」を確認し、その株価をチェックしてみれば、「低PBR銘柄=お買い得」という公式が成立しないことは明らかです。プライム市場でも、数値が1未満の低PBR銘柄はたくさんありますが、その中には一日の取引量がほとんどない銘柄もあり、投資家たちが「お買い得」と考えているとはとても思えません。PBRがどんなに低くても買えない銘柄はあるのです。