特別なことをしている感覚が本人にはまるでない

政治経済のニュースはもちろん、ドラマやアニメなどのエンタメ情報にも詳しく、世の中のトレンドを敏感にキャッチしているのも天才の特徴です。

どんなときでも知的好奇心を満たすために貪欲な姿勢には、本当に驚かされます。きっと、社内の誰よりも世の中のトレンドに触れているのではないかとさえ思います。

しかし、天才本人は「勉強をしている」とはまったく思っていません。

これらすべては、日常の中の一コマにしか過ぎず、特別なことをしている感覚が本人にはまるでないのです。だから「寝る間を惜しんで勉強をしている」なんて気持ちは一ミリもありません。

ただ、自分が気になること・やりたいことを貪欲に楽しんでいるだけなのだと思います。きっと「勉強家ですね」なんて声をかけたら、きょとんとされるでしょう。

それは、天才の多くが根っからの「マーケター体質」だからなのかもしれません。

⻆谷も「自分は社長業よりもマーケティングが好きなんだ」とよく言っています。つまり、読書もニュースもエンタメも、すべては勉強ではなく、アイデアの源泉として楽しんで体に吸収しているのです。

以前、⻆谷のポケットからDiorのリップが出てきたことがありました。今や男性もメイクをする時代ではあるものの、本人はメイクに興味はありません。一体なぜだろうと思っていると「若い子に人気と聞くから、どんなものか知りたくて買ってみたんだ」と言うのです。

私は思わず感嘆の声を上げてしまいました。

たしかに、Diorはかつて富裕層の間で人気のハイブランドでした。しかし、ここ数年で一気に20代前半の女性客から圧倒的な支持を得ています。

おそらくその理由を知りたくて、ただ調べるだけではなく自らも体験してみようと思ったのでしょう。

天才が見ている世界の輪郭を捉えるために

多くの人はそこまで行動できないのではないでしょうか。「おじさんがDiorを買いに行くなんて……」と、無駄な羞恥心が邪魔をして、気にはなっても行動にはなかなか移せない。でも、天才はそれができる。

松浪宏二『超一流の凡人力』(クロスメディア・パブリッシング)

何よりも自分の知識欲を満たしたいからです。

このように、天才は発想力と行動力が違います。私たちはまずその「行動」を見て驚き、その後「なんでそんなことをしたのか?」と聞いて出てくる答えの「発想」に、さらに驚くのです。

それを「突拍子もないアイデアが出てくるなあ。すごいなあ」という浅い理解に留めるのではなく「なぜこんなことを思いつくのだろう。それは何につながっているんだろう」と考え、自分に問い続けてみてください。

そうすると、天才が見ている世界の輪郭が少しずつはっきりしてくるはずです。

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