「世界一」を作ったという誇りを手に入れた「現場の人々」
実は現場では、スカイツリーの完成前から「誰が最初にてっぺんに登るか」が、密かな話題になっていた。半田はこう話す。
「オレが先だって、ずっと思っていました。施工者を差し置いてって、後で大林組の社員さんから言われちゃいましたけど」
苦笑する半田を、森川がフォローする。
「オレたちの特権だよね(笑)」
スカイツリーの建設がスタートしたとき、現場で敵対し合っていた半田と森川。ゴールしたとき、半田は敬意を込めて森川を「哲さん」と呼び、森川は親しみを込めて半田を「半ちゃん」と呼ぶようになっていた。
スカイツリーのてっぺん――。地上との中心の誤差は、半径6センチ以内と設定されていた。完成後に測定した実際の誤差は、半径2センチ以内に収まっていた。