「ニュースにはなっていないけど自死は多いんですよ」

【伊達】僕の同級生は、奥さんと子どもさん二人を津波で亡くしたんです。奥さんのご遺体は2週間ぐらいして瓦礫の中から見つかったけど子どもは行方不明。

それでその同級生は、自分でこんな長い竿を持って水の中に腰まで入って子どもを探し続けたんです。河北新報にも大きく写真が載ったんですが、それが何と泥の中から子どもを本当に見つけたんですね。抱き上げて。

その後、仮設住宅に入って頑張っていたんですが、奥さんの火葬から1年後に自死しました。お線香あげに行ったとき遺書を見せてもらったんですが、「子どもに会いに行ってくる」って書いてありました。ニュースにはなっていないけど自死は多いんですよ。自分だけ生き残ったことが申し訳ないと。

写真=iStock.com/Yuuji
「奥さんの火葬から1年後に自死しました」(※写真はイメージです)

「その場所で家族や多くの人が亡くなっている」

【富澤】復興住宅とか堤防とかいろんなものができ上がっています。単純に外から見ていると、ああどんどん建ってるなあと。でも住民のみなさんからすれば、その場所で家族や多くの人が亡くなっている。この風景を街の人が果たして受け入れているのかなあと考えさせられますね。

――政治や政府に望むことを聞かせてください

【伊達】先日ある番組で福島の原発に防護服を着て入ってきました。廃炉作業の現状を見てきたんです。従業員の方はみんな廃炉に必死に頑張っていて、その中に若い作業員がいた。

聞くと福島出身なんですね。地震当時、中学生や高校生で、ずっと帰宅困難地域の子どもたちだったんです。彼らは逆に原発にいい思いはないんじゃないかと思っていたのにそうじゃなくて、「俺たちが廃炉にするんだと入社した」と言うんですね。そんなに真剣に向き合っている彼らを見て心を打たれましたし、政治はぜひ原発問題、廃炉や処理水などしっかり取り組んで欲しいと思いましたね。

【富澤】とにかく政治家には現場に直接行って話を聞いて何が必要なのかを分かって欲しいですね。